大工、ザクとは違うのだよ 産廃屋に就職して、三ヵ月は試用期間でした。仕事内容は産業廃棄物の選別。要するに一般家庭でゴミを仕分けて捨てるのと同じように、産業廃棄物も品目ごとに仕分けて捨てるわけです。 ダンプやトラックが現場から積んできた産廃を…
大工、就職っ! 工務店の外におん出されて幾年月、ついに就職先を定めました。この時僕は満30歳。年齢的にいよいよ年貢かと思ってたけど、今考えるとまだまだ若い。 『環境リサイクルの会社です』 きっかけはこの求人見出しでした。これを見て「お!」っとア…
大工、クリーニングドライバー 美容室で元気よく働き始めたのも束の間、瞬殺で美容師は諦めてしまいました。はい、僕はバカ者です。が、言い訳にトライすると。 お給金問題なんです。僕のお店は月給13万スタート。2010・11年くらいの話です。で、当時住んで…
大工、大工以外になる 工務店をクビになって、路頭に迷ってしまった僕はこの頃、頭ん中もかなり血迷っていました。 僕が鬱になったきっかけは、バンド活動が終わって生きがいを失ってしまったこと。これには自分でも気が付いていたので、バンドの代わりにな…
大工、お前はクビだ! 人としてどうかと思う男達と過ごした足場屋時代も一年くらいで終わりを迎え、実家の工務店に戻りました。 この頃の僕はまだうつ病のど真ん中にいて、薬を欠かさない日々だったせいか記憶がほとんどないんです。同じ病気を患ったことが…
大工、足場屋で働く.5 ゴンちゃん後編 借金三億五千万を抱えながら、二つの家族を養う男、社長のゴンちゃん。今回もゴンちゃんのムチャクチャぶりをお話しします。 僕が工務店から初めてゴンちゃんの足場屋に出向した日。ゴンちゃんの運転するトラックに乗っ…
大工、足場屋で働く.4 ゴンちゃん前編 足場屋時代の話もいよいよ大詰め。最後は社長、通称ゴンちゃんです。ゴンちゃんは当時65歳、「俺は高齢者だから足場に上ったらダメなんだよ」が、殺し文句。 この人、とにかくムチャクチャなトンデモ人間なんです。僕…
大工、足場屋で働く.3 ケンちゃん編 メンタルクリニックでうつ病の診断を受けて、3種類の抗不安薬などを飲みながらも背に腹は代えられず、ヒーヒー言いながら働いていた足場屋で出会った人達の話。 今回は3人目、足場職人ケンちゃんです。当時40代前半。ケ…
大工、足場屋で働く.2 佐藤さん編 引き続き、僕の足場屋時代に出会った珍人の話をさせてください。足場屋の長男的存在、糖尿シャイボーイクマちゃんに続きまして、次男的存在の佐藤さんです。 佐藤さんは当時50代前半、社長ともう一人の従業員と3人で事務所…
大工、足場屋で働く.1 クマちゃん編 うつ病になって薬を飲んでいたとしても、働かないと喰えない。当時、リーマンショックの影響で新築の仕事が激減し、実家の工務店は仕事の仕方を変えざるを得ない状況に陥っていました。 そんな中、父と兄を残し、弟の僕は…
大工、うつ病だったんかい! というわけで、心理カウンセリングを受けた結果「病院へ行け」とのことだったので、なるべく家から近いメンタルクリニックにふらっふらの状態で行きました。 そのクリニックの待合室で、自分もいよいよ来るとこまで来てしまった…
大工、カウンセリングを受ける 大学院に入って、間もなく体調に変化が出てきたんです。その頃は実家暮らしでも家族とほとんど顔も合わせず、会話もしなかったし、仕事は相変わらず足場屋に出向状態でした。 二十代の血潮はすべてバンド活動に注いでいたのに…
大工、大学院に行く 大学院で僕を受け入れてくれたゼミでは、僕が最年少でした。僕と同時にそのゼミに入った方は都内の某お寺さんの住職で、有名な俳優の葬儀などを任された方らしく、あたしゃ小石みたいに縮こまったよ。ってか、すんげ〜自慢ゴリ押しオジサ…
大工、三足のわらじを履く そんなこんなで二十代は「兄と共に父の工務店をかいがいしく手伝っているように見えて、その実大工には1ミリもなる気のない弟」という状態で生きていた僕。 19歳から始めたバンドもライブ活動をするようになると、ギター演奏で特別…
大工、利用してやる 父が嫌いで大工になるのだけはイヤだと考えていた十代の後半、様々なバイトを転々と変え続けながら、人生なんてツマラナイものだとふさぎ込んでいました。 17歳の時に家から近いという理由だけで決めた肉屋のバイト。そこで頂いた給料で…
大工、見て覚えろ! 職人の世界には「手元」という宙ぶらりん雑用の状態があります。大工にも例外なくある。 この「手元」を職人の補助作業とかサポートだなんて書いてあるのを見かけると、少しモヤっとするんだよね。 これ要するに、何もわからない新人に何…
大工、親父がキビシ~ 十代の頃、父に連れ出された現場では主に掃除をしていました。イエス! 一日中! そのせいか、今でもホウキを使った掃き掃除は得意です。って自慢になるんかこれ。 父や他の大工さんが丸ノコでBeeeeeeN!! と、木材を切ったあとの切りく…
大工、OYAKATAと呼べ! 親がゴリゴリの大工だった僕は、幼い頃から親戚の集まりなどで「○○は大きくなったら大工になるんだよな」「大人になったらお父さんと一緒に大工さんね」などと言われ続けて育ちました。 それに対して元気よく「うん!」と応えると、父…
大工、小指がない! どんな業界にも、ユーモアがない人や愛情がない人はいると思うのですが、大工には小指がない人が一定数います。こっち真顔です。 僕の実家の工務店には四人の大工さんが常駐していました。驚くことに、その内二人が小指なし大工だったの…
大工と蚊 僕が大工として仕事をしていて、嫌になっちゃうことの第一位は蚊です。二位はグラスウールで三位は怪我。 大工は蚊にめちゃくちゃ刺されます。 四月の半ばくらいから汗ばむ季節に入ると、プイ~ンとまとわりついてくる奴ら。新築なんて現場のどこに…
「大工」ってさ 石を加工して様々なものを作る技術を持つ「石工」、土を加工して様々なものを作る技術を持つ「土工」、木を加工して様々なものを作る技術を持つ「大工」。 これはなぜだって話です。 木を加工して云々ならば「木工」の方が座りがいいのに「大…
大工っぽくないよね 親父がバッキバキの職人気質の家庭に育った僕は、必ずしもっていうか、ハッキリと大工になりたかったわけではない。だからかしら、言われて嬉しい言葉があります。 「大工っぽくないよね」。これです、これ。 お! わかる? そうなのよ~…
大工、病院へ行く暇がない コロナが始まって以来、風邪一つ引かなかった僕ですが、二月に思いっきり体調を崩しました。 その日は新規の現場の着工日で、材料が届くまで現場で待っていたのですが、やたら寒い。普段、マンションの現場はコンクリート躯体に覆…
大工、人を使うことへの迷い 体力的にも収入的にも右肩下がりになっていく恐れのある職人業ですが、これに対抗する手段として、人を雇って助けてもらうor人に仕事を振って助けてもらうの二つがあります。 職人業も40歳を過ぎてくると、身体の衰えを実感。こ…
大工、右肩下がりの稼ぎ 一人親方として独立し、五年目の春を迎えました。初めのうちは一日でも仕事が空いてしまうと「なんか仕事探さないとヤバい」なんて焦っていましたが、今ではどっしりしたもんです。態度も身体も1.5倍。 職人が足りていない建築業界な…
突撃! 全身和柄マン 郊外の大きなイオンとかアピタ、はたまたくら寿司とかブックオフなんかに行くと、上下和柄入りでめかしこんだおつもりの男性を見かけますよね。 上は背中に鯉の滝登りがバンと見事に描かれたシャツを着ていて、すごい圧。にもかかわらず…
とある大工の一日 4:30 起床 妻と娘を起こさないように布団を出て、キッチンへ行きコーヒーを入れる。それを持ってデスクに行き、パソコンを開いて、ブログを書くorペンタブで絵を描く。 6:30 身支度 パジャマから作業着に着替えて、11種類のサプリをプロ…
大工、手がごつい 年に一度だけ会う友人とスナックみたいな地元のバーに行った時のこと。横並びに座った友人が何気なく僕の手を見て言いました。 「ずいぶんごっつい手してるねえ。やっぱり大工なんだねえ」 え? 全然ピンとこないんですけど。そんなにごつ…
「建築業の男」になりたくない 新年度に入り、TBSラジオの人気番組『たまむすび』が惜しまれながらも終了。新たに『こねくと』が始まりました。 嬉しいのが、町山智浩さんの映画評論コーナーが継続になった事です。でね、パーソナリティの石山蓮華さんに「ど…
大工の華 職人にとって、大工にとって、汗をかくことに意義があるとすれば、それはやっぱり家族との時間を楽しむためだと思う。 大工生活に華があるとしたら、上棟式? 木完の日? はたまた給料日? いやいや、正直なところ、華なんてないかな。フツーです。…