大工、足場屋で働く.4 ゴンちゃん前編
足場屋時代の話もいよいよ大詰め。最後は社長、通称ゴンちゃんです。ゴンちゃんは当時65歳、「俺は高齢者だから足場に上ったらダメなんだよ」が、殺し文句。
この人、とにかくムチャクチャなトンデモ人間なんです。僕はこの人に出会ったことで、その後少々変わった人達に出会っても驚かなくなりました。
ゴンちゃんは80年代のバブル期にゴルフ用品店の経営で当てて、高額だったカントリークラブの会員権片手に、ゴルフを中心とした生活で潤っていたそうです。
ところが、当時はゴルフのコースに出ると、クラブハウスに黒い人達が一定数いて、しばしば賭けゴルフに誘われたのだそう。その賭けゴルフでゴンちゃんは大失敗し、黒い人達への借金が膨らんで破産。
んで、その時に家族まとめて黒い人達に船に乗せられて、沖に連れていかれて、海で泳ぐかハンコをつくか選択を迫られて、ハンコをついたと・・・。
なんと、その借金の総額は3億5千万!!
この時、船の上でハンコをついた借用書の現物をゴンちゃんに見せてもらったことがあるのですが、筆で手書きされた見た目も超イカつい借用書で、ほんと〜に「金三億五千万円」と書いてありました。こえ~。
ゴンちゃん曰く「あいつらは脅すときはすごいけど、実際にはあんま手は出してこない」とのこと・・・って、なんだその情報っ!
その後、黒い人達に借金を返済する日々が始まったゴンちゃん。何をしても取り立てられて面白くないから逃げ回っていたんだそうです。ところがある日、彼らに身柄を拘束されて事務所に軟禁されてしまったゴンちゃん。
「いや、あいつらさ、毎日カツ丼しか食べねんだよ。本当だよ? 毎~日カツ丼」
と、ゴンちゃんは黒い人達の偏った食生活を話してくれました。へ~そ~なんだ~、ってなるかいっ!!
「だけど、その一緒に船に乗せられたご家族に捨てられたりしなかったんですか? 普通離婚ですよね」
「離婚してくんないんだよ。別居。金だけ払ってるよ。だから俺はもう一個の家族と暮らしてんだよ」
もう一個の家族???
あ、足場屋の仲間のことか! そうかそうか。
「社長にはケンちゃんも佐藤さんも家族みたいなもんですもんね」
「あんな奴ら家族じゃねえよ(笑)。もっとちゃんとした家族だよ。娘もいるよ」
え、え~と・・・。
NA・NI・SO・RE!!
まったくもって意味不明なのですが、ゴンちゃんには自分が旦那として暮らす家族が二つ。家も二つ。奥さんは二人。娘があっちとこっちに一人ずついるのだそう・・・。
おまわりさん、この人です。
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