大工、お前はクビだ!
人としてどうかと思う男達と過ごした足場屋時代も一年くらいで終わりを迎え、実家の工務店に戻りました。
この頃の僕はまだうつ病のど真ん中にいて、薬を欠かさない日々だったせいか記憶がほとんどないんです。同じ病気を患ったことがある方なら共感して頂けるかもしれません。
だもんで、どういう経緯で足場屋から工務店に戻ったのか、工務店に戻ってどのような現場に出ていたのかも覚えていないんですけど、今でもハッキリと覚えている事件が起こったんです。
私、実家の工務店をクビになりました。てへへ。
状況を説明すると、当時の実家は父が社長で母が経理、他に兄を含めた常駐の大工が4人。そこに僕を足して5人、この座組で2、3個の現場を回していました。
そんな小さな工務店ですから、僕は大工として現場に出ながらも現場管理のようなことをせざるを得ず、多少は常駐の大工達に小言を言ったりしていましたよ、ええ。
あまり記憶にないですけど、タバコをその辺で吸うなとか、早く帰ろうとするなとか、長渕の『巡恋歌』みたいだけどそんな感じのやつ。その辺が原因かなあ・・・。
ある日の夕方、父に作業場に呼び出されたんです。現場の終わりに作業場に行ってみると、父と兄と大工達が全員集合。なになにどしたん?
一同かしこまっちゃって、長テーブルを囲んで着席。みんな気まずそうな表情をしていて、誰も僕と目を合わせようとしない。
いや~な予感がするぜ・・・と、思いながら僕も着席。
「お前はよそで働けっ!」
へ?
唐突に、父から言われたんです。何度も言いますがこの時、僕は絶賛うつ病です。もちろん父も兄も大工達も周知の事実でした。
この場で父を筆頭に、兄や大工達からボロカスに色々言われたと思うのですが、覚えているのは「お前が一番心配だ」と言われたこと、一番心配なのにクビなんかい! と思うけど、ま〜万年腰掛け大工だったし、仕方ないか、とも思う。
けどね、幼い頃から大工になるように散々差し向けておいて、いざ大きくなってやらせてみたら気に食わないからクビってさ・・・親父よ、あんたって人は。
この時僕は二十代後半、うつ病持ちで大学院を中退して、現在の妻とアパート暮らしでした。大工以外の仕事なんてほとんどしたことないアラサー。
さすがにやばいだろ!
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