大工、ヤクザみたいな人?
内装解体班の売上と利益を会社に申告する度に「職人って儲からないね」と上司にチクりと言われながらも、班のみんなと苦楽を共にしていた時期。
ある日、解体の現場はみんなに任せて、僕は問い合わせ対応や得意先への挨拶廻りなど、本来の産廃営業の業務をしていました。すると、母からの着信がブィーン。
「お兄ちゃんがヤクザみたいな人達に連れていかれちゃったのよっ!!」
え? なんだそれ? ちょ、藪から棒すぎて状況がわからん・・・。
「は? 現場で?」
「お姉ちゃんも一緒だったから! お姉ちゃんに代わるわ!!」
は~?? 仕事中になんなんだよこの不穏な電話・・・いやな予感しかしないんですけど。
母に代わって電話に出た姉もかなりの動揺。姉が言うところによると、アロハシャツのようなド派手なシャツを着て、サングラスをかけた、ガタイのいい、ど~見てもモノホンの二人組が実家兼工務店の事務所にやってきたと・・・。
二人組の来訪を、当時まだ独身で実家住まいだった兄に告げると、少し玄関口で二人と話し、兄はその二人に黙ってついていった・・・らしい。
なん~~じゃっそれ!? どーゆーこと??
そいういえば、僕は兄と父が経営する工務店を「お前がいるとやりづらい」とクビにされてから、とんと兄とは絶縁状態だったので最近の動向を知らなかった。
「お兄ちゃん大工の仕事もしてないし、なんか最近私服で昼間っから出かけてたよ」と、姉。
おいおいおいおい! 大工の仕事してない? じゃあ親父が一人で工務店やってんのかい!? 常用の他の大工さん達はどうなってるんだ?
その後、口下手な父と現場をよく知らない母から絞り出すように聞き出した情報を手掛かりに推察・・・。
どうやら、僕が工務店を去った後、常用の大工さん達と兄の関係はうまくいってなかったらしい。って・・・ワシがいなくなればやりやすくなるんじゃなかったんかい!!
そんなところへ、知人の紹介で稼げる仕事があると誘われ、そっちへ行ったと・・・。
「俺だって一回きりの人生だから、挑戦してみたい」
と言って、工務店を辞めた・・・だとさ。
あのね~・・・・・・。
この時点では、その知人に紹介された仕事がろくなもんじゃなくて、その関連でヘマをして、ヤクザに連れていかれたんだ。と僕は考えていました。
が、合っていたのは前段のみ、事態は更に悪い方向へ進んだんです。
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