青色申告のミステリー
年が明けて五年目に突入した僕の個人事業主ライフも、今年はインボイスという大変革を迎えることになります。けどその前に青色申告という恒例行事があるのよね。
申告ってよくよく考えると変な制度だと思う。例えば固定資産税や不動産取得税なんかは「普通徴収」っていって、登記簿とか台帳を行政がチェケラッチョ(死語)して決めた金額を払い込み用紙とセットで通知されて、あーそうなのねって感じで支払うもの。
一応これ、納得いかない場合再審査とか不服申し立てができます。まあ国側が一方的に決めてるわけじゃないのよ感は出してる。
それと「特別徴収」ってのは給与天引きのこと。だから「普通徴収」も「特別徴収」も自分の知らんところで決まった税金がオートで金額が決まって、仕方なく払ってる感じ。なんなら払ってる感ない人もたくさんいると思う。
ところがだ。申告の方は「申告納付」だから、こっちから国側に教えてあげないと税金の金額が決まらない変な制度なのだ。
そりゃあ嘘つく人いますって・・・。
簡単に言うと「私は去年、仕事で税込〇〇円を売り上げました。その内、仕入れに〇〇円使って、経費に〇〇円使いました。だもんで差し引き〇〇円儲けました」って国側にこっちが元気よく手を挙げて申告するのだ。
いや学級委員長かよ! 今度の生徒会選挙出るつもりかよ! って感じですがこれをやるのが青色申告。
何度も書いていますが、神奈川東京エリアの大工は一日25,000円くらいが穏当な稼ぎです。みっちり週六で働いても大体月23.4日なので、月575,000円くらい。んで年にすれば6,900,000円くらいの売り上げになる。うん。
仮に一日20,000円で叩いている大工でも同様に計算した場合、年5,520,000円になる。んでね、僕も含めてほとんどの大工が材料は親方や元請け手配で仕入れなんてないわけです。経費と言えばネジやビスやボンドがほとんど、なんならこの辺も手配してもらってる大工さんもいます。
つまりだよ。どう考えても年間の所得は3,300,000円以上になるはずなんですけど。
いやいや、わかってますよ。色々な控除があることくらい。僕だって控除受けてます。
ところが余りにも知り合いの大工や他の職人と比べて僕の税金が高い! 所得税が高い! だから住民税も高い!
納得いかなくてみんなと何が違うのか根掘り葉掘り聞いたところ、一様に返ってきたのが「青色申告会入ってる?」というものでした。
「いや、なんすかそれ?」
「青色申告会に入ってればブルーリターンってソフトがあって、色々面倒みてくれんだよ。とりあえず青色申告会に入れ」
「ブルーリターンっすか、かっこいいですね。じゃあ入ろっかな」
ってことで、意気揚々と自宅から最寄りの青色申告会に行ってみたんです。役所の近くにあって、女性多めの職場雰囲気でした。
「あの~ちょっと僕の税金がやたら高くて、相談に来たのですが~」と、刑事コロンボみたいな話し方になってしまった僕を優しく丁寧に案内してくれたのは女優の柴田理恵みたいな方でした。
かくかくしかじかで納得がいかない。何か他の大工と僕に違いがあるのか。そんなことを洗いざらい話し、聞いてみました。すると理恵さんから衝撃の返事が・・・。
「お兄さん、ま、じ、め、な、の、ね~」
いや、所ジョージでも伊東四朗でもなく柴田理恵がですよ。びっくりしましたよホント。
「ここは青色申告会だから、青色申告を手助けする場所なの。わかるでしょ」
と理恵さん。むむむ・・・。
「じゃあ僕も青色申告会に入りたいのですが」
「いや、お兄さんは入っても意味ないわよ。聞いた感じやることやってるし、もう三回も自分で申告できてるんだから。お兄さんが正解。お兄さんが正しいのよ。じゃあ他の大工さんと何が違うのかしらね」
だそうです。お察しです。お察し案件です。理恵さんは私に言わせるなって顔をして半笑いでした。マジです。
いやいやいや納得いかないって・・・
いつだってオレは正直さ・・・
近所でも評判さ・・・
次の生徒会選挙は立候補してみるか・・・。