大工、いきなり物件内覧!
マンションリノベの現場で仕事をしてる最中に「こんにちわ~」と唐突に玄関の扉が開く。僕の方は不意を突かれて驚くのだが、向こうさんは物おじせずぐいぐい部屋内に入ってくる。不動産仲介業者の物件内覧です。
「このあとお客様の内覧がありますのでよろしいですか?」
これ、よろしくないですって断る選択肢は大工の僕にあるのでしょうか。まぁあるわけないよね。お客様のお支払いになるお金が廻りに廻って職人の懐をあたためるわけですから。
不動産会社→現場施工会社→大工、こんな風に依頼が下りてきて僕は仕事しているので、不動産会社がイチイチ現場の都合なんて考える余裕なんてあるわけないんです。そして、お客様優先は当然のことなので理解はしてるよ。
だけど、無防備な作業中に見知らぬ人が不意打ちでテリトリー侵犯ですからね。部屋でファミコンしてたら母親が突然ゴミ箱のゴミを回収しにきた時のような抵抗不能感と不快感。
「あ、大工さんは気にせずお仕事なさってください。職人さんがいるよってことは聞いていて承知しておりますので」
そうなんですか、それじゃあ・・・ってわけにはいかないよ! 大工仕事のホコリの量を甘く見てるよ! それに思いっきり土足のまま現場に入ってきちゃってるよ! おいおいおいおい! んもう!
てなわけで、突然の内覧があるとホコリが超舞う石膏ボードはもちろん、材木を電動工具で切ることはできなくなるし、彼らが帰った後に共用部分を掃除しなければいけなくなったりします。結構職人も気を使ってるんですよ。
ていうか~、こっちはホコリとボンドで汚れた作業着だし~、人に会うことなんて想定してないから~、髭も髪の毛もボッサボサなのに~。
そんな薄汚れた僕のすぐそばで、お上品な言葉遣いの営業が「こちらのお部屋は子供部屋としてお使い頂けるように・・・」とか、小綺麗にした格好のお客が「へ~、なるほどね~」なんて腕組んで話し込んだりしてさ・・・
気まずいっちゅーねん!! 全員作業着で出直し!