大八ですけど喰えてます。

大工になりたくなかった大工のブログ。階段作れない、和室作れない、大八ですけど喰えてます。

○○さんはすごいっすねえ

無○○さんはすごいっすねえ

 

 一般的な社会とは少し異なる世界が広がる職人界にはホモソーシャルな風もびゅんびゅん吹いています。職人とつかず離れず一定の距離間で上手に仕事をするには処世術が必要。

 

 彼らに対して効果がめちゃくちゃ高いのが「トリアエズホメル」「スカサズホメル」「チョイチョイホメル」といったホメル系の魔法です。ま~面白いように効きます。

 

 例えば、初対面の職人ならほぼ間違いなくマウントをとるかとられるか様子をうかがっていて、口数は少なく、表情はこわばり、とりあえず咳払い多めです。この状態の彼らをそのまま放置していると一様に不機嫌になっていくのだ。めんどくさっ!

 

 でも大丈夫。この不穏な状況を打破するためには「トリアエズホメル」を唱えよう。唱え方は何でもいいから話しかけてとりあえず褒める。

 

 「あれ・・・車ってどこ停めましたか?」

 

 「そこのパーキング」

 

 「まじですか? すごいっすね。あそこ停めれたんですか? 俺なんかもっと全然遠い所に停めましたよ」

 

  これです。とりあえず姿勢を低くしてササっと腰から下に入り込んで持ち上げちゃいましょう。一撃で相手の表情がほぐれます。

 

 「あれ・・・○○さんはこの仕事何年やってるんですか?」

 

 「え? あ~三年くらい」

 

 「すごいっすね。三年でもう一人で現場やってんですか? 俺なんて二十年かかりましたよ。独立まで」

 

 はい。バシッと決まりました。これでほっといてもこの職人が不機嫌になることはまずありません。数字に関する話題は最も簡単にホメル系魔法が決まるポイントだから見逃せない。

 

 もしここで相手が嬉しそうに自分語りを始めたら「スカサズホメル」をタイミングを見計らって堂々と声大きめで唱えます。

 

 「でさ~、俺はそれじゃダメだって思ったからさ~、言ってやったのよ。社長に」

 

 「ええ! マジですか? すごいっすね。で、なんて言ったんですか?」

 

 「え~だからさ。 いや社長、このままじゃ誰も付いてこないよ~ってさ」

 

 「まじっすか!! ○○さんすごいっすねえ!」

 

 バシィィィっと気持ちよく入りました。ここまで来ると大概の職人が勝手に踊りだすので、あとは「チョイチョイホメル」をときどき唱えていれば嫌われることはありません。仕事もスムースに上手くいきます。

 

 上手くいけばお茶を買ってきてくれたり、昼飯をおごってくれたり、謎の道具をくれたりします。かようにしてホメル系の魔法効果は職人界で絶大なのです。

 

 ちなみに相手の年齢問わず通用するので上手く使いこなしていきましょう。ただ一点だけ注意! この魔法がバキバキに決まる職人の大半がその後「今度もっとオイシイ現場を紹介するよ」 とか「金のいい会社があるからさ」と、こっちを喜ばせようとしてくれますが、これらの誘いが実現する可能性は限りなく低いと考えましょう。

 

 ぐんと持ち上げられてしまった彼らが背伸びした状態になっていて、自分の目線を見誤っているだけなので期待しない方が無難です。

 

 とまあ、冗談半分ではあるけれど、いやいやどうしてこれが現実だからね。職人界には不良ヤンキーや部活動の先輩後輩とはまた少し違った職人同士の結びつきがあるのは確か。会社での先輩後輩ともまた違う。

 

 全員派遣、全員出向、全員社長の職場ってあるのかね。全員よそもので、全員偉そうで、全員持ち場以外には無責任な・・・いえいえ、世の派遣や出向や社長のことではなく、独立した職人の話だよ。

 

 それこそ全員野球なんてここではファンタジーです。

 

ホメル

 

 

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