任意保険に入っていない僕がオカマ掘りました
事故を起こしてしまった日の午後15時、不安で変になりそうになってる僕の携帯がなりました。事故相手の田中さんからです。僕はこの瞬間、なぜ保険屋からの連絡じゃないんだろう・・・と、不安が爆発寸前。おそるおそる電話に出ました。
「あ~すいません。田中です。保険屋に色々聞いたんだけど、自賠責だと保証されないらしいので~。モジゃさんは保険に入ってないって言ってたから~」
ゆっくり話す田中さん、何を言われるのかビビりまくって疑いまくっている僕とは裏腹に、丁寧さも優しさも含まれているトーンでビックリすることをおっしゃったんです。
「モジゃさんの知り合いの修理工場とかないんですか? そこへ行く方が安心でしょう」
え? え? どゆことどゆこと? あまりにも寝耳に水で僕は初め理解ができませんでした。なんと、田中さんは僕の住所とかなり離れた場所(車で一時間以上)に住んでいらっしゃるのにも関わらず、僕の懇意の整備工場に車を持っていくと提案してくれたんです。
仏がいらっしゃる。
僕はすぐに知り合いの整備工場に打診して事の次第を説明すると「そんなにいい人が本当にいるの?」と、整備工場も驚くほど。田中さんに修理工場の住所と名前をお伝えして、事故の翌日、整備工場で待ち合わせることになりました。
その日の夜、僕が妻に事故のことを話すと、妻は「生きて帰ってきてくれたから、それでいい」と言ってくれました。本当にごめん。ありがとう。
翌朝になっても本当に田中さんが現れるのか不安になりながら、僕は待ち合わせ時間より一時間も早く、整備工場に出向きました。
予め、どれくらいの費用がかかりそうか聞いておこうと思ったんです。田中さんの前で金額を聞いたりするのは不誠実になるとも思ったし、実際にとんでもない金額だった場合、顔や態度に出ちゃう恐れがある。これ以上ないくらい自業自得なんですけどね。
その整備工場は家族経営の小さな工場でみなさん暖かいムード。整備工場へ僕が到着すると開口一番「なんで保険に入ってなかったの!」と、お説教。当然です。そして修理費用の概算見積もりをしてもらうために、田中さんの車両の車種と状態を話しました。
「あくまでも、概算だけど、代車代も入れてこれくらいは覚悟してください」
遂に、修理費用の金額が・・・ゴクリ。
「33万7451円、端数はサービスして、税込み33万円ですね」
33万。
33万。
さんじゅうさんまん・・・。
この金額を聞いて僕が思ったのはなによりかにより、妻と娘に対する申し訳なさでした。とにかく二人に申し訳ないと思った。情けなくて涙が出そうになるって本当にあるんだ。
その後、田中さんは奥様とお二人で到着。遠方の整備工場までちゃんと来てくれたんです。お車から降りてくるお二人にとにかく僕はお礼と謝罪をただただ繰り返しました。
するとお二人は笑顔も交えた表情で「こんなに古い車なので元通りになればなんでもいいから」と言ってくださり、仏に仏を重ねてくる新時代のコンボ。僕はその都度ただただお礼と謝罪をする流れ。我ながら情けない。
改めて事故の車両を見て触って確認した後に、僕と田中さん相席のもと、修理費用が整備工場から告げられると、田中さんの奥様はその金額を見て「奥さんに申し訳ないわね」と、僕の妻まで気遣ってくれる優しさ。
僕はこの時、本当に自分は幸運だと思いました。交通事故の相手方が加害者に対してこのように振舞えるのは稀有なことじゃないでしょうか。田中さんの人柄に感謝しかありません。
その後、修理作業の期間や代車の説明などを受けた後、田中さんご夫妻は「ありがとうございました」と、僕にお礼までしてくれて、帰路につかれました。
今回のことで、僕が変えようと思ったのは、任意保険に入ることはもちろんなのですが、もっと家族のためにお金を使おうということでした。
お金って、貯めておくと安心ではありますが、使わないと家族が楽しめないですもんね。人生は短くて、あっという間に過ぎていきます。
これからはもっと家族の幸せを考えて生きていこうと思います。
長々とありがとうございました。
みなさまも交通事故にはお気を付けください。